いびきと無呼吸について
以下は、国土交通省自動車交通局のホームページ
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/09/090318/090318.pdf
より、文章を抜粋したものです。
「睡眠時無呼吸症候群」に注意しましょう!
漫然運転や居眠り運転の原因として、近年、注目を集めているのが「睡眠時無呼吸症
候群」
(SAS:Sleep Apnea Syndrome)と呼ばれる病気です。SASは、安全運転上も、ま
た、運
転者の健康上も見逃すことができない大きな危険を伴う病気で、漫然運転や居眠り運
転によ
る事故を防ぐとともに、運転者の健康を維持するためにも早急に治療をしなければな
りませ
ん。
【1】.SASとは
SASは、睡眠中に呼吸が止まった状態(無呼吸)が断続的に繰り返される病気で
す。そ
の結果、十分に睡眠がとれず、日中強い眠気を感じたり居眠りがちになったりする、
集中力
や活力に欠けるなどの状態になり、漫然運転や居眠り運転により事故などが発生しや
すくな
ります。医学的には、呼吸が10秒以上停止する無呼吸の状態が睡眠中に30回以上
生じる
か、睡眠1時間あたり無呼吸が5回以上生じるものをいいます。
【2】.SASに関連する症状
SAS患者には、主に次のような症状が見られます。
・睡眠中、呼吸が止まる・大きないびきをかく・朝、頭痛がする
・日中、強い眠気を感じる・寝ている間頻繁に目が覚める・熟睡感がない
・集中力が低下する・夜頻繁にトイレに立つ
・不眠症・勃起機能不全(ED) ・肥
【3】.SASに伴う合併症
SASになると、睡眠時無呼吸のために、血液が固まりやすくなり、狭心症、心筋梗
塞、
脳梗塞など重大な合併症を引き起こすおそれがあります。また、高血圧、高脂血症、
動脈硬
化、不整脈のおそれもあります。
【4】.SASによる事故
これまでの色々な研究によれば、SASによる居眠り運転で発生する事故は、特に
・ひとりで運転中
・高速道路や郊外の直線道路を走行中
・渋滞で低速走行中
に多いといわれています。また、重症のSAS患者による事故は、短期間に複数回生
じるこ
とも少なくないと言われています。
アメリカでの調査結果1によれば、SAS患者の事故率は、健康な人の約7倍という
デー
タが出ています。
【5】.病的な眠気の程度を調べる自己判断テスト
SASは、本人が自覚しにくいため、まず、眠気の程度が病的であるか次のようなテ
スト
で自己判断を行ってみてください。
0:うとうとする(居眠りをする)ことは絶対にない
1:ときどきうとうとする(居眠りをする)ことがある
2:うとうとする(居眠りをする)ことがよくある
3:だいたいいつもうとうと(居眠りを)してしまう
1.座って読書しているとき
0 1 2 3
2.テレビを見ているとき
0 1 2 3
3.他の人もいる公共の場所で動かないで座っているとき
(会議に出席したり、映画館にいるときなどです。)
0 1 2 3
4.他の人が運転する車に乗せてもらって、1時間くらい休憩なしで
ずっと乗っているとき
0 1 2 3
5.事情が許せば、午後に休息をとるために横になっているとき
0 1 2 3
6.座って人とおしゃべりしているとき
0 1 2 3
7.お昼ごはん(アルコールは飲んでいないとして)の後に、静かに
座っているとき
0 1 2 3
8.車を運転中に、渋滞や信号待ちなどのために数分間止まっているとき
0 1 2 3
1 Findley L: Am Rev Respir Dis 138:337(1988)
合計11点以上の人は病的な眠気があると考えられ、その原因の1つとしてSASの
可能
性があります。ただし、合計10点以下でも家族から睡眠中の呼吸停止や大きないび
きを指
摘されたり、日中強い眠気を感じたことがある人はSASの可能性があります。
【6】.医療機関による診断
・スクリーニング
2.の「SASに関連する症状」と5.の「病的な眠気の程度を調べる自己判断テス
ト」
の結果によって、自分がSASではないかという疑いが生じた場合には、産業医や地
域産業
保健センター、定期健康診断委託先の医療機関などを通じて診断を受けてください。
医療機
関では、いびきの大きさ、無呼吸の有無、日中の眠気、起床時の熟睡感などについて
問診を
行います。そして、睡眠検査機器(PSG(終夜睡眠ポリグラフ)といいます。)の
簡易型
のものやパルスオキシメータという機器を使って検査を行います。その内容は、一晩
寝てい
る間の無呼吸の回数や動脈血の酸素量等を測定し、精密な検査が必要かどうかふるい
にかけ
るものです(スクリーニング)。この検査機器は小型で軽量であるため、自宅に持ち
帰って
検査を行うことができます。
・確定診断
簡易型PSGで重症のSASと判断された場合には、直ちに7.「SASの治療方
法」
のCPAPによる治療を受けられます。精密な検査が必要と判断された場合には、さ
らに病
院で一晩かけてPSGによる検査を行います。これは、体にいろいろなセンサーを付
けて、
脳波、心電図、口・鼻からの気流、胸部・腹部の動き、動脈血の酸素量、いびきなど
を記録
し総合的に解析するものです。この検査により、睡眠障害の有無と、SASであるか
どうか
の確定診断とその重症度を判定します。
【7】.SASの治療方法
治療が必要だと判断された場合には、CPAP(シーパップ/経鼻持続陽圧呼吸療
法)に
よる治療が効果的です。これは、鼻に簡単なマスクを付け、無呼吸が改善されるよう
に適切
な圧力をかけた空気を鼻から持続的に送り込み、上気道を押し広げるというもので
す。また、
CPAPによる治療は、自宅でも行うことができ、月に一度診察のために通院するだ
けです
みます。これには、健康保険が適用され、患者の負担は軽減されています。自己負担
額は、
3割負担の場合、月々5,000円程度です。
他の治療方法としては、下あごを前方に固定することにより上気道を広げて治療する
マウ
スピースというものもあります。また、扁桃の肥大が原因の人は外科的手術が必要と
なりま
す。さらに、肥満の人は、食事療法などの指導を行い、減量をする必要があります。
【8】.CPAPによる治療の効果
CPAPによる治療の効果は、治療を始めた最初の1日目の夜から現れ、無呼吸数の
減少
や動脈血の酸素量の改善が見られます。また、数日間の治療により、日中の強い眠気
や居眠
りの改善が見られます。さらに、継続的に治療を続けることにより、2.の「SAS
の症状」
が改善されます。
このように、CPAPによる治療を受けるとひどいいびきも止まり、無呼吸の状態も
起こ
らなくなります。そのため、夜ぐっすり眠れるようになり、日中強い眠気を感じたり
居眠り
をしたりすることがなくなり、SASが原因となる漫然運転や居眠り運転による事故
を防止
することができます。また、集中力が増し、仕事の能率や成果の向上にもつながりま
す。さ
らに、SASに伴う合併症を予防することもでき、生活全般の質の向上と健康の維持
が図ら
れることになります。
アメリカでの調査結果2によれば、SAS患者の事故率は、CPAPにより継続的な
治療
を行った場合、大幅に低下し、健康な人と変わらなくなるというデータがでていま
す。
【9】.事業者・管理者のみなさんへ
−SASへの対応において事業者・管理者が果たすべき役割−
SASの人が、それを放置したまま運転を続けることは、自分だけでなく他人の命も
大
きな危険にさらすことになります。特に、職業運転者は、安全運転が社会的な使命で
あるわ
けですから、SASであった場合、運転の仕事を続けていくためには、治療を受ける
ことが
必要不可欠です。また、7.「SASの治療方法」と8.「CPAPによる治療の効
果」に
あるように、SASは治療が比較的容易であり、しかもその結果症状が劇的に改善さ
れます。
従って、事業者は、管理職や人事・労務担当者、運行管理者などが連携し、この病気
につ
いて、運転者や家族と正確な情報を共有して、日頃から職場や家庭で気軽に話し合え
る雰囲
気づくりをしていくことが重要です。専門医によるセミナーを開くのも一つの方法で
す。事
業者には、運転者や家族と一体となって、この病気に取り組み、SASの疑いがある
運転者
を早期に把握するとともに、診断と治療につなげていく社会的責任があるのです。
なお、当然のことですが、SASは治療すれば健康な人と同じように安全に運転を続
けて
いくことができるわけですから、SASの疑いがあるから、または、SASと判明し
たから
といって直ちに乗務からはずすなどの差別的な扱いを絶対にしてはなりません。
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